近年相次ぐマウスピース矯正のトラブルについて
理事長の高津が取材を受けました

interview

マウスピース矯正に対しての
当院の考え

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「手軽に歯並びが綺麗になる」と大人気のマウスピース矯正ですが、近年マウスピース矯正にまつわるトラブルについて耳にすることが増えてきているかと思います。
宣伝に協力すれば治療費が返金され、実質無料でマウスピース矯正が受けられる、と聞いて治療を受けたものの、治療の途中で返金がされなくなり、さらに医院も突如として閉鎖してしまったことで、多くの患者様が矯正治療の途中でローンを抱えて宙ぶらりんの状態になってしまうという事件がおきました。

2023年の1月26日には、約150人の患者様がこの医院の医師や運営会社幹部らを相手に総額約2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こしたことは、記憶に新しいでしょう。
こういったトラブルを受けて、マウスピース矯正そのものに対しても、とても悪いイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?

このようなトラブルを起こさないために、医院がどのような対策をするべきなのか、またマウスピース矯正での治療は本当におすすめできるものなのか。
今回は歯科医師向けの勉強会を主催し、マウスピース矯正の講師も務める、「こうつ歯科・矯正歯科」の理事長、高津先生にお話をお伺いします。

マウスピース矯正で多発するトラブルについて

早速ですが、マウスピース矯正で多発しているトラブルについて、高津先生はどのようにお考えなのか、ぜひ教えて下さい。

高津: まずは例の事件で途中で治療を投げ出されてしまった、ローンを抱えたままになってしまった、という方には本当に残念だな、なんとか他の医院だったりで治療を終えられたり、お金の問題も解決できれば良いな、というのが当然ありますよ。
その上で、この訴訟の問題というものと、マウスピース矯正が抱える問題というのは、また別だというところは認識していただきたくて。
この件は①治療が完遂していないこと、②実質無料と言いながら返金がされずにローンが残ったこと、この2点が問題なんですよね。内容として要は詐欺みたいなことで、これがマウスピース矯正だろうが、ワイヤー矯正だろうが、同じことをすればそれは大問題です。

確かに、マウスピース矯正だからという問題ではないはずですよね。ですがやっぱり不信感を感じたのも事実です。

高津: その点は本当に残念でならなくて、私自身マウスピース矯正の講師をしたり、医院でも積極的にマウスピース矯正をおすすめする立場なので、不本意な形でマウスピース矯正の悪評が立ってしまったのは悲しいなと。

ではマウスピース矯正そのものには全く問題がないということですか?

高津: いえ、実はそういうわけではなくて。例の事件とはまた別で、マウスピース矯正の悪い評判だったり、トラブルの話はありますよね。実際にマウスピース矯正もいろいろと問題を抱えている部分はあると思います。

マウスピース矯正が抱える問題

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高津: マウスピース矯正でのトラブルって、実際患者様からお話を聞くこともあれば、同業者からお話を聞くことも多々あって、色々な理由でトラブルが起きていることは確かです。
ではなぜトラブルが起きているのかと言うと、『マウスピース矯正の導入のしやすさ』というのが大きいのかなと思います。

導入のしやすさ、というのは医院にとって導入しやすい治療ということでしょうか?

高津: 仰る通りです。例えば旧来のワイヤー矯正だと、そもそもワイヤー矯正ってすごく難しくて。手先も器用じゃないといけないし、ワイヤーでどういう風に力を入れたら、どう歯が動くのか、全部歯科医が理解していないとできない。だから歯医者の中でもワイヤー矯正を専門的に勉強していない人は、うちでは矯正治療はできないので、他院でやってくださいだったり、週に1回だけ医院に矯正専門医を呼んで、矯正治療をしたい人はみんなその曜日に来てください、というような形をとっていました。
ワイヤー矯正は難しいからこそ、歯科医師側も簡単には手を出さないし、結果的に上手な人のところに患者様も集まる形が取れてたんですね。
ところがマウスピース矯正は、医院で歯形だけ取れば、あとはメーカーがマウスピースを作ってくれる。正直なところ、勉強ゼロで全くなんの知識もない先生でも、機材を揃えたら明日から始められちゃうんです。ここ数年はマウスピース矯正が流行っていたこともあって、気軽に導入して患者さんに治療している医院は多いと思います。

医院に手軽に導入してしまうが故のトラブル

高津: もちろん全ての医院がそうではなくて、導入するときにしっかり勉強する先生は勉強しますけど、勉強せずに導入だけしちゃうっていう先生もいるので、そういう理由でトラブルが増えているんだと思います。

手軽さゆえに簡単に導入しちゃうけれど、知識だったり技術に差があるわけですね。

高津: そうなんです。ところが、患者様は技術に差があるなんて知らないじゃないですか。有名なブランドのマウスピース矯正であれば、 CMだったりweb広告だったりで、美人なモデルさんが宣伝してる。医院のおしゃれな写真が載ってる。そういうのを見て「同じような歯並びになるのかな」「綺麗な医院だから安心だな」と思ってしまう。
それで医院を選ぶときにはやっぱり安い医院を選んでしまう。もちろん治療を受けるというのは「商品を買う」ことでもあるので、安いのが良いという気持ちもわかりますが、なぜ安いのか?まで考えて医院を選ぶ患者様は少ないですよね。先生の技術や知識に差があることももちろん知らないし、医院側も「僕は全然経験ないし勉強してない代わりに安いよ」なんて教えてくれるわけがないので。結果としてトラブルに繋がってしまうんです。

歯科医師側はトラブルになると思ってないんですか?

高津: 思ってないでしょうね。実際にマウスピース矯正を導入して、やってみた結果トラブルが起きてしまって、本当にどうしようかと頭を抱えてしまう。例えば意図してない歯の動きが起きているだったり。そういうときに、先生方から私に相談が来たことも今まで何度もありますね。

それは歯医者さんにとっても不幸なことですよね。しっかり治療できると思って提供したのに、患者さんに迷惑をかけてしまう。

高津: でもマウスピース矯正って必ずしも悪いものではないんです。しっかりと勉強して知識をつけて、経験を積んでいけば、すごく良い治療装置になるんです。ワイヤー矯正にはない良い点がたくさんある。そういう面があるからこそ、ここまで流行ったというのも否定できないと思います。

マウスピース矯正における医院の「差」とは

医院・先生によって知識や技術に差があるという話でしたけれど、具体的にどんな部分が変わってきますか?

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高津: いろいろありますね。知識も技術もあまりにも未熟だと、そもそも全然思い通りに歯が動かせないみたいなこともありますし。ただ今回はもう少しコアな部分の「差」についてお話できたらなと。

口元の診断技術

高津:例えば当院だと、矯正治療で歯並びを綺麗にするのはもちろん、口元まで考えて治療をしているんです。矯正をしっかり行っている先生方は、口元まで考えて治療していると思います。ただそこまで考えて治療できるくらい、知識だったり技術だったりが豊富な先生は滅多にいません。

口元までというと、つまり口を閉じている状態でも、矯正治療による顔貌の変化がある?

高津:その通りです。大切なのは患者様の気持ちなので、しっかり聞いて例をお見せして、「こういう風に歯を動かすと、口元は矯正後こうなっているよ」とイメージを持っていただく。その上でどうなりたいのか?をしっかりとお聞きする。それを実現するだけの、知識と技術が必要なので、聞いたからといって誰でも出来るわけではないのですが。
ただ矯正治療の経験が未熟でマウスピース矯正を導入して、機械的に歯型をとってマウスピースを渡して、歯並びが綺麗になったとしても口元が患者様の好みにならないことがあるわけです。

せっかく歯並びが綺麗になったのに、口元の印象が思ってもない方向に行ってしまうことがあるんですね。

高津:他にも横顔の診断も歯科医によって差が出ますね。セファロという矯正用のレントゲンがあるんですが、歯の角度などの数値をしっかりと見て、どうしたら横顔が綺麗になるのかを計算・測定して診断していくという技術です。セファロをしっかりと診断する技術、骨と歯の角度をしっかりと診断する力というのは、私が矯正を習った師匠が大事にしていた部分でもあるので、間違いないのかなと思ってます。

そこまで診断するのは大変なのでは?

高津:もちろんめちゃくちゃ大変ですよ!ただやっぱり、歯並びが良くなっても喜んでくれるんですが、口元が綺麗になるともっと喜んでくださるんですよ。良い意味で思ってもなかった変化というか、歯並びだけ綺麗になると思ってたら、口元も綺麗になるんですか!と喜んでもらえる。そうすると、大変だけどやって良かったなと思えますよね。
患者様の中には、例えば口元がすごく突出していて、お顔の印象にかなり影響が出てしまっている方とかもいるわけです。そういった患者様の口元が綺麗になった時は、本当に人生が変わったというくらい喜んでもらえたりするので。やりがいがあります。

意図しない歯の動きへの対応

高津:先生の技術の差が大きく出る部分で、意図しない歯の動きが生じた時に対応できるのか、というのも大きいです。

意図しない歯の動きというのは?

高津:例えば奥歯がすごく倒れてしまったり、噛み合わせが深くなってしまったりすることがありますね。

それは先生の技術が高ければ防げることなんですか?

高津: もちろん矯正のレベルが高ければ、意図しない歯の動きは減りますね。ただやっぱり歯と言っても人間の体なので、コントロールし切れないこともあり得ます。そのときに、しっかりリカバリーができるのかどうかというところで、歯科医の腕の差が出ると思います。
例えばマウスピース矯正では、倒れた歯を起こすという動きは、かなり難しいです。意図せず歯が倒れてしまったときに、マウスピース矯正だけでリカバリーするのは非常に難易度が高い。ですがワイヤーを使うと、倒れた歯をしっかりと起き上がらせることができます。
当院の患者様で、意図せず歯が倒れてしまった場合は、私が元々ワイヤー矯正のインストラクターをしていたくらい得意なので、問題なくリカバリーすることができます。ですがワイヤー矯正が全くできないという先生のところで、マウスピース矯正をして歯が倒れてしまったら、かなり厄介なことになりますね。

そういう場合って実際どんな対応になるんですかね?

高津:私に相談が来ることもよくあるので、そういうときは、できる限りの対応を伝えますけれど、根本的にマウスピースではどうしようもない状態になってる場合は、ワイヤーを使うしかない。先生がワイヤーで矯正できない方であれば、ワイヤーが得意な他の先生を患者様に紹介してあげてください。と伝えたりしますね。患者様からしたら、他の医院に行くのも大変だとは思うんですが、歯が倒れたままで治療が進まないよりはいくらかマシだと思うので。

こういうことは結構よくあることなんでしょうか?

高津:めちゃめちゃあると思いますよ。人づてで聞くことも多いですね。歯が倒れてしまったり、奥歯がうまく噛まなかったり。特に巷にある安いマウスピース矯正で、目の前の患者様に適していない治療をしてしまった場合などは。

それは先生自体も分かってないんですか?良かれと思って安いマウスピース矯正を選んだら「ミスった!」となるような?

高津:そうだと思います。これは半分想像ですけど。基本的に安いマウスピース矯正を導入する先生って、技術はあまりないけれど、マウスピース矯正で売上を上げたい。特に勉強せずに、メーカーさんに歯型を送ってマウスピースを作ってもらうんですが、そもそも診断ができないので完全にメーカーさん任せになってしまう。結果としてトラブルが起きるけれど、そもそも知識も技術もないので対応できない、というような。
こういうことが起きるのは、患者様にはもちろんのこと、歯科医の先生方にとっても不運だと思っているんです。しっかり矯正について学ぶ機会があれば、患者様に喜んでもらえたはずなのに、機会がなかったから良い治療を提供できていない。そうなってほしくないから歯科医師向けの勉強会を主催して、マウスピース矯正の講師として活動しているというのもあります。

歯科医師向け勉強会での取り組み

歯科医師向けの勉強会では、どんなことをされているんですか?

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高津: 勉強会のスタイルとしては、私が上から教えるというスタイルではなくて。「僕も一緒に学びます」というスタンスでいます。私もまだまだ技術を向上したいので、有名な先生をお招きして私自身も教えていただいたり。

また私と同じように矯正治療を得意としている先生も来てくれるので、そういう先生方とディスカッションしながら、矯正が不得意な先生には教えてあげて、矯正が得意な先生からは逆に学ぶことがたくさんありますね。同じマウスピース矯正の分野でも、その中で得意・不得意があったりするんですよ。
今では勉強会の人数が360人ほどいるんですが、中には矯正は本当に初心者で全くわからないという先生も多いです。そういう先生に勉強会に入って頂いて、一緒にマウスピース矯正を勉強することで、歯科医師全体の知識を上げて、マウスピース矯正による患者様のトラブルを減らしたり。
自分が治せる患者様は目の前の患者様だけなんですけど、自分自身の勉強会で学んだ先生が、目の前の患者様を治せば、僕が直接的に会わない患者様も間接的に治療ができるので、そういった意味でもやりがいがあります。僕が勉強会でみてるのは歯科医の先生方なんですけど、その先にはやっぱり患者様がいて、患者様の幸せにつながるので良いですよね。

ワイヤー矯正ではなくマウスピース矯正を行う理由は?

こんなことを言うと失礼かもしれませんが、マウスピース矯正でトラブルが多いのであれば、最初からワイヤー矯正を選べば良いのにと思ってしまって…。高津先生の中で、それでもマウスピース矯正が良い理由って何かありますか?

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高津: 元々は訴訟事件についてから話が始まっているので、マウスピース矯正の悪い面ばかりフォーカスしてしまいましたね。でもここまでお伝えしたことは、各先生方がしっかりと知識と技術を持っていれば、ほとんどトラブルになり得ないわけです。
じゃあその上で、マウスピース矯正にはどんな利点があるのか、ワイヤー矯正よりいい点はなんなのか、という話ですよね。

マウスピース矯正の利点について

高津:まずはありきたりですが、治療中の見た目がいいということですね。ワイヤーだと口を開けるとしっかり見えてしまうので、ご飯中とかも気になりますが、マウスピース矯正は目立たないというメリットがあります。

それは確かにメリットですね。

高津:歯が磨きやすいのも大きなメリットです。矯正期間は通常2年~3年くらいですが、ワイヤーだと磨くのが難しくて、虫歯ができたりもします。マウスピース矯正なら外して磨けるので、矯正していない時のようにケアができる。フロスも糸ようじも通ります。ワイヤーだと糸ようじは通らないんですよ。ですので、マウスピースは歯が磨きやすくて虫歯などになりにくいというメリットがあります。

確かにワイヤー矯正中に虫歯になったという話を聞いたことがあります。

高津:あとは痛みが少ないのもマウスピース矯正のメリットです。ワイヤー矯正はかなり痛みが出やすいので、途中でギブアップしてしまう患者様もいるくらいなので。

ワイヤー矯正が痛いのはよく聞きますね。口の粘膜にワイヤーが触れて痛いとか。マウスピースならそれがないから痛くない、ということですよね。

高津:はい、装置の違いによる痛みの大小はかなりあります。あとマウスピースは、歯が動くことによる痛みも少ないと言われています。例えばワイヤー矯正だと、1ヶ月に1回ワイヤーを強く締めて、1ヶ月分の歯を動かすための力を掛けるので、噛めないくらい痛いということもあります。対してマウスピース矯正は、大体1週間に1回マウスピースを交換します。すると歯を同じ距離だけ動かすとしても、ワイヤー矯正の1/4の力で済む。学術的にはもう少し別の説明があるんですが、こういう説明だと患者様に理解してもらうのがわかりやすいかなと。

それは初めて聞きましたね。面白い。

高津:あまり知られていない話でいうと、マウスピースの厚みがメリットになる場合もあります。マウスピースの厚みは0.5mmで、上下(上顎・下顎)で合計1mmほどの厚みが出るので、噛み合わせが1mm高くなるんです。下あごが下がった状態になるというとわかりやすいですかね?そうするとあごの関節の隙間が少し広がるので、顎が少し安静になる。顎関節症状がある方も楽になるようです。

なるほど。

高津:あとは、ここが本当に大切なんですが、デジタル技術を取り入れ得られるという点ですね。例えば、デジタルの資料(顔写真、レントゲン、歯型)とシミュレーションを連動させたり、シミュレーションとお口の写真を合わせる技術もあって。実際にシミュレーションと顔写真を合わせられるので、治療後のイメージがすごく湧きやすい。例えば前歯をあと1mm引っ込めたらこんな見た目、2mm引っ込めたらこんな見た目、どうしたいですか?っていうようなことができます。

これは確かにデジタルならではのメリットですね。

高津:ワイヤー矯正だと直接目で見ながらワイヤーを曲げていくわけなので、こういうことはできません。ですのでデジタルの技術とマウスピース矯正ってすごく合うんですよね。デジタルが進化すれば進化するほど、マウスピース矯正も進化できるんです。
従来のワイヤー矯正だと頭の中でやるシミュレーションが、デジタルでできる。ワイヤー矯正でも例えばシミュレーションのために、模型を作ったりもできるんですが、お金もかかるので普通はしないです。マウスピース矯正ならコンピューター上でシミュレーションを何パターンもすぐに作れる。

マウスピース矯正の欠点

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高津: ただしやっぱり良いことばかりではなくて、マウスピース矯正には明確な欠点があります。それが、力強い歯の動きが苦手ということ。ワイヤー矯正だと、太いワイヤーで強い力をかけられますが、マウスピースは柔らかいので、すごく強い力というのはかけられないんです。

だからマウスピース矯正での意図しない歯の動きに対処する時に、ワイヤー矯正がたびたび登場していたということなんですね。

高津: その通りです。なのでマウスピース矯正が絶対に良い、ワイヤー矯正が絶対に良いという話ではなくて、患者様に応じて使い分けられることが大切です。マウスピース矯正にも得手不得手があるので、歯科医がそれを理解してマウスピースをする。もしそれで上手く動かない場合は、ワイヤーに切り替えることを患者様に説明して、理解を得た上でやっていくとか、そういうような技術や診断が必要かなと思います。

それ以外に何かデメリットってありますか?

高津:あとは、取り外せるというのがデメリットになってしまうこともありますね。ワイヤー矯正は取り外せないからこそ、嫌でも治療が進んでいきます。マウスピースは外せてしまうので。基本的には1日22時間くらい装着して欲しいんですが、毎日19時から24時まで飲み会に行くような方とかは、装着時間が短くなりがちなので、治療計画通りに進まないことがあります。

矯正治療を検討している方に知って欲しいこと

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高津: やっぱり今回の対談でも何度も言ったことですが、歯科医によって技術に差があることは理解しておいて欲しいですね。例えば、値段が安いのは良いんですが、安いという事には何かしらの理由があります。本当に良心的で安いという場合もあるんですが、しっかり勉強している医院ほど、費用は高くしないといけなくなってくるので。

それはまあ、そうですよね。勉強に時間とお金を使っている分、治療費用はある程度しっかりした値段になる。

高津:勉強会に時間を使ってたり、丁寧に治療していたり、熱心な先生であればあるほど、ある程度の費用がかかることも理解していただきたい。なのでしっかりと勉強されていて、「良い症例」がある先生に診てもらうのが良いかなと思います。

症例数が多いような医院を選んでいけば良い、ということでしょうか?

高津:いえ、症例数が多ければ良いというわけではないんです。マウスピースの症例数って、グループでの症例数など、医院の方で変にカウントできてしまうので、大きく見せられるんです。またマウスピース矯正そのものが流行っているので、矯正が上手くない医院でも、プロモーションの力で数をこなせてしまう。

なるほど、私なんかは症例数が多ければ安心してしまうタイプなので、この話は結構驚きです。

高津:もちろん症例数が少ないよりは良いんですけど、多いからといって必ずしも安心できるわけではないです。その先生がどう学んでいるのか、日々どんな活動をしているのか、HPなどでしっかりと見るのがいいと思います。HPの矯正のページを見たら、先生の熱意とかもある程度分かるので、そういうところも見て、技術差があることを理解した上で、医院選びをしてもらえれば良いのかなと。

まさに今回の対談で、高津先生の熱意を私もすごく感じているので、そういうことですよね。これくらいの熱量を持ってる先生の治療なら、確かに安心して受けられる。

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高津: あとは、一概には言えないのですが、医院自体に矯正の上手い先生がいるクリニックを選んだ方が良いと思います。例えば、月に1回~2回だけ矯正の先生が来るという医院もあります。

それは何が良くないんでしょうか?やはり技術が低いとか?

高津:いえいえ、すごい腕の良い先生が来る場合もありますよ。ただやはり何かトラブルがあった時に、医院に矯正のできる先生が常駐していないと、すぐに診てくれなかったり、次回の予約を取りたくてもその先生が来る1ヶ月後になってしまったりするので。できれば医院に常駐の矯正が上手い先生がいる医院で診てもらうことがいいかなと思いますね。

矯正治療には対応しているけれど、矯正できる先生が常駐していないというパターンは、結構よくあることなんですか?

高津:結構ありますよ。自分は矯正を全く勉強したことがないから、バイトで矯正の先生を月1回~2回雇って、というパターンですね。それ自体は別に悪いことではないので、こういうケースはめちゃめちゃ多いです。でもそれが理由でうちに来る人も多いです。「今行ってる歯医者さんはメンテナンスとか虫歯治療で行ってて、矯正治療を進められたけど、そこは月に1回しか矯正の先生が来ていないから不安で高津先生のところに来ました」なんて言っていただくことはかなり多いですね。

なるほど、高津先生は「こうつ歯科・矯正歯科」とわかりやすい医院名で、矯正に力を入れてるってわかりやすいですしね。

高津:それも医院選びのひとつのポイントになると思いますね。クリニック名に「矯正」が入っている方が安心かな。医院名に「矯正」が入っているということは、その医院の院長先生がクリニックを作る上で、矯正歯科に重きをおいているかどうかという1つの指標になるので。もちろんそれが絶対ではないですけど、医院を選ぶ時の大きな理由になりますね。

確かにわかりやすい指標になりますね。

高津:あとは、私が一番大切だと思っているのは、やっぱりワイヤー矯正ができる先生のところで治療を受けるのが良いと思います。マウスピース矯正は流行りなので、どこの医院もやり出しているんですが、技術には差があります。何かあった時にリカバリーができるよう、ワイヤー矯正の技術もある医院が良いかなと思います。

高津先生は矯正が予定通り進まない可能性についてしっかり話してくれるので、私が患者ならすごく先生を信頼できると思います。

高津:ありがとうございます。ただ上手くいかない可能性や、リカバリーが必要になる時点で、下手と捉える方もいるのでそこが難しいところですね。ただそれでも、僕は正直でありたいので、良いことばっかり言って悪い可能性は隠すなんて、誠実じゃないのでね。もしも患者様に悪い印象を持たれる可能性があっても、正直に全て伝えるようにしています。

高津先生は矯正が予定通り進まない可能性についてしっかり話してくれるので、私が患者ならすごく先生を信頼できると思います。

インタビュアーのあとがき

さて今回は近年のマウスピース矯正のトラブルの話に始まり、矯正治療全体の話や歯科医院選びの話まで、マウスピース矯正の講師も務める高津先生にお話を伺いました。

ここからは少しぶっちゃけ話に成るんですが、私もこれまでお仕事で色々な歯医者の先生方とお話してきたんですが、正直な話、マウスピース矯正を『金の成る木』的に扱ってる先生って結構多いんです。気軽に勧められて手間もかからないし売りやすい、みたいな感じで。そもそも歯医者さんにとって手軽なのが嬉しい治療だから、あんまり真剣に勉強したくないし、そこに時間を使いたくないんだろうな、ってのは、まあ薄々感じてたんですよね。

だからこそ高津先生の話を聞いて、かなりびっくりしましたね。こんなに真剣にマウスピース矯正のことを考えている先生もいるんだ、って。

正直私はもともとマウスピース矯正をちょっと否定的な目で見てて。我慢してワイヤーで矯正した方が絶対良いわ、って思ってたんですけれど、先生の話を聞くとそうとも思えなくなりましたね。ちゃんと勉強してる人の下で治療してもらうなら、マウスピース矯正も良いんじゃないかなと。だから医院選びって本当に大切だと思いますし、高津先生にも医院の選び方を教えてもらいましたけれど。それでも当たり外れって絶対あると思うんで、ちょっと怖い部分もありますよね。それこそ大阪府の方とかなら多少遠くても高津先生に治療をお願いするのが良いんじゃないかな?ってのが忖度抜きで思いましたね(笑)

また今後も他の治療について、色々とお話を伺えればと思います。今回はありがとうございました!

GREETING

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